日常的にトイレタンクを開けることはあまりないため、内部の部品や構造を知る人は少ないでしょう。そのため、タンクに異常があったときに何が原因か正しく判断できないことが多いです。
しかし、タンク内の構造を知ることで原因を突き止め自分で修理することが可能です。
こちらでは、トイレタンク内にある部品の役割と修理手順について解説します。
タンクのトイレ修理をする前に
タンク内のトイレ修理をする前に、やっておくべきことがいくつかあります。
これらを行う前にタンク内の修理をすると、作業がしにくいことや状態が悪化してしまうことがあるため注意しましょう。
止水栓を閉める
トイレ修理や部品交換のときは、止水栓を閉めて作業を開始します。止水栓が開いたままだと水が流れ続けてしまうため作業ができません。
止水栓は壁や床に接続された給水管の根元に設置されており、手で回して閉めるタイプとマイナスドライバーで回して閉めるタイプがあります。どちらも時計回りに回すと止水栓を閉めることが可能です。
タンクの水を抜く
タンクの修理をするときにタンクに水が入ったままだと作業がしにくいため、作業前に水を抜きます。
水抜きのやり方は、止水栓を閉めたあとにハンドルレバーを水がなくなるまで回すことです。トイレ修理が終わったら止水栓を開けてタンクに水を貯めましょう。
じゃばらホースを外す
じゃばらホースは、タンクの蓋についている手洗い管と給水管をつなぐホースです。じゃばらホースが接続されたままだとタンクの蓋を完全に外せないため、タンクの修理作業ができません。
じゃばらホースの外し方は、蓋を持ち上げると裏側のじゃばらホース接続部付近にナットがあるため、レンチを使いナットを緩めると外すことが可能です。
また、じゃばらホースがないタイプのタンクもあり、その場合は上に持ち上げるだけで蓋を外せます。
メーカー・品番がタンクと同じものを購入する
タンクの部品を購入するときはタンクと同じメーカー・品番のものを購入しましょう。同じ部品でも大きさや形状などの規格はさまざまなため、安いからと適当なものを選択して失敗することがあります。
メーカーや品番はタンクの側面や説明書で確認できますが、わからない場合は業者に確認しましょう。
タンク内の部品の交換手順と注意点
ここからはタンク内の部品の役割と交換手順・注意点について紹介します。タンクの部品の多くは自分で交換可能ですが、難しいと感じたら業者にトイレ修理を依頼しましょう。
フロートバルブ
フロートバルブは、タンクの底にあるゴムの玉です。レバーを引いたときに水が流れるようにする役割があります。
ハンドルレバーを引くことで、チェーンにつながっているフロートバルブが持ち上がり水が流れる仕組みです。フロートバルブや接続されたチェーンに破損があると、水が止まらなくなる・または水が流れなくなる原因となります。
交換手順
- ハンドルレバーに接続されたタンク内のチェーンを外す
- オーバーフロー管に接続されたフロートバルブを外す
- フロートバルブまたはチェーンを新しいものに変える
- チェーンの長さを調整し再び取り付ける
- ハンドルレバーを回してフロートバルブが持ち上がるか確認する
- 確認が終わったら蓋を閉めてタンク内に水を入れる
注意点
- オーバーフロー管は折れやすいため、フロートバルブを取り外しするときは気を付ける
- フロートバルブを触ると手が黒く汚れるためゴム手袋をする
- チェーンの長さはピンと張るのではなく、少し余裕を持たせる
ボールタップ・浮き玉
ボールタップと浮き玉は、タンク内の水量を適切に保つ役割があります。ボールタップと浮き玉はアームでつながっています。
水面の浮き玉の位置に応じてボールタップ内の弁が開閉し、タンク内の水を調整する仕組みです。
ボールタップと浮き玉に異常がある場合は、タンク内の水が溢れる、またはタンク内の水が補充されなくなる原因となります。
浮き玉のみの交換手順
- レンチを使いアーム部分のナットを緩め浮き玉を外す
- 新しい浮き玉を取り付けてナットを締める
- アームが動くか確認する
- 蓋を閉めタンクに水を入れる
- タンク内の水がオーバーフロー管に書かれた標準水位まで貯まるか確認する
ボールタップの交換手順
- タンクの横に接続された給水管をナットを緩めて取り外す
- 新しく取り付けるボールタップの接続部分にパッキンを入れる
- ボールタップを取り付けて給水管を接続する
- タンクに水を入れて問題がないか確認する
注意点
- 新しい浮き玉をそのまま使うとタンク内の水が標準水位の通りに貯まらないことがある
- タンク内の水が標準水位より低いときは浮き玉のアームを下に軽く曲げ、標準水位より高いときは上に軽く曲げて調節する
- 水位を調節するときは止水栓を閉めてから行う
オーバーフロー管
オーバーフロー管は、何らかの原因でタンク内の水が溢れそうになった際に水を排出する役割があります。オーバーフロー管は普段は水面から管を数センチ出していますが、水面が上昇するとその管を通って排水する仕組みです。
また、オーバーフロー管には標準水位が書かれています。タンク内の水がこの標準水位からずれている場合は、タンク内に異常が発生している可能性があることを示します。
オーバーフロー管が折れた場合は、管から水が流れ続けてしまうのですぐに交換が必要です。オーバーフロー管は折れやすいため、タンク内の掃除や部品交換のときには注意しましょう。
交換手順
- タンクにつながっている給水管を外す
- タンクの下にある便器とタンクをつなぐボルトを外す
- タンクをゆっくりと取り外す
- オーバーフロー管の根本をウォーターポンププライヤーで回して外す
- 新しいオーバーフロー管をウォーターポンププライヤーで取り付ける
- タンクを取り付けて外したボルトをつける
- 給水管を取り付ける
- タンクに水を入れ異常がないか確認する
注意点
- オーバーフロー管の交換はほかの部品の交換よりも難しいので、基本的には業者にトイレ修理を依頼する
- タンクは重く割れやすいので、自分で交換する場合は誰かと一緒に行う
- 新しいオーバーフロー管を購入するときは同じ型番のものを購入する
レバーハンドル
レバーハンドルは、タンクの外についている水を流すときに回す部品です。レバーハンドルも経年劣化によってサビが発生し、回しにくくなることがあるため、その場合は交換しましょう。
また、レバーハンドルが空回りする場合はタンク内のチェーンが外れているか千切れている可能性があるため、そちらも確認してください。
交換手順
- タンク内のハンドルレバーに接続されているチェーンを外す
- 内側についているナットを緩めハンドルレバーを取り外す
- 新しいハンドルレバーを差し込みパッキンをはめてからナットを締める
- チェーンの長さを調整してつけたあとタンクに水を入れる
- レバーハンドルを回して水が流れるか確認する
注意点
- チェーンを取り付けるときはピンと張るのではなく少し余裕を持たせる
- 元のハンドルレバーと同じ規格のものを購入する
まとめ
最後にこれまでのまとめをします。
- トイレ修理をする前に、止水栓を閉める・タンクの水を抜く・じゃばらホースを外すを行う
- タンクの部品を交換するときは交換手順を守り、ほかの部品に気をつけながら作業する
- オーバーフロー管の交換は個人では大変なため、基本的に業者にトイレ修理の依頼する
- 修理が難しいと感じたら業者に依頼する
タンクのトイレ修理は自分で修理することで業者に依頼するよりも安く済みますが、決して無理のない範囲で行いましょう。タンクは非常に重いため、無理に行うと怪我をしてしまう恐れがあります。
また、間違った取り付けをすると再び故障してしまうため、わからないときは業者に依頼することが確実です。